これは、宅建の学習を始める方が最初に抱く疑問の一つではないでしょうか。
もちろん、必要な学習時間には個人差があります。これまでの法律や不動産に関する知識、勉強に慣れているかどうか、そして現在の実力によっても大きく変わります。
そこで、ここでは一つの目安として「合格に必要な学習時間を300時間」と仮定して考えてみます。
仮に1日2時間を宅建の学習時間として確保できれば、300時間 ÷ 2時間 = 150日となり、約5か月の学習期間が必要になります。「1日2時間ならできそう」と感じるかもしれません。
しかし、実際には毎日必ず2時間勉強できるとは限りません。試験や学校行事、アルバイトなどで学習できない日もあるでしょう。
そのため、「5か月あれば十分」と考えるのではなく、できるだけ早めに学習をスタートし、余裕を持った計画を立てることが大切です。
社会人になると、さらに時間の確保が難しくなります。
朝から夕方まで本業の仕事をし、通勤時間もあり、帰宅後には家事や家族との時間もあります。仕事で心身ともに疲れてしまい、「今日は勉強しなくてもいいかな」と思う日があるのも当然です。
そこで、無理のない学習時間として1日1.5時間を確保すると考えてみます。
300時間 ÷ 1.5時間 = 200日となり、約6.7か月、つまり7か月程度の学習期間が必要になります。ここで重要なのは、1日1.5時間という数字そのものではありません。重要なのは、「忙しい中で、毎日どれだけ継続できる時間を確保できるか」です。
「毎日2時間」より「継続できる1.5時間」
宅建の学習では、最初から無理な計画を立ててしまうと、途中で続かなくなってしまうことがあります。例えば、「平日は毎日3時間勉強する!」と決めても、仕事が忙しい日には実行できず、計画そのものが崩れてしまうかもしれません。
それよりも、「平日は1~1.5時間、休日は少し多めに学習する」など、自分の生活に合わせて継続できる学習時間を設定することが重要です。
そして、もう一つ大切なのが、「何時間勉強したか」だけで学習を評価しないことです。
同じ1時間でも、ただ問題を解き続ける1時間と、
「なぜ間違えたのか」
「知識がなかったのか」
「知識はあったのに思い出せなかったのか」
「問題文を読み違えたのか」
を分析する1時間では、その効果は大きく異なります。
宅建合格を目指すなら、学習時間を確保することと同時に、その時間をどのように使うかを考えることが重要です。
早く始めれば、それだけ多くの時間を確保できます。しかし、スタートが遅くなってしまったとしても、諦める必要はありません。大切なのは、試験日までに残された時間の中で、自分に必要な学習を見極め、限られた時間を効果的に使うことです。
☞ 試験日は、例年10月の第3日曜日に実施
☞ 出題数は「50問」(5問免除者は全45問)
☞ 出題方法は「4つの選択肢から1つ選択する」
☞ 試験時間は「2時間」(5問免除者は1時間50分)
☞ 5つで構成されている
Ⅰ.権利関係
Ⅱ.法令上の制限
Ⅲ.税・その他
Ⅳ.宅建業法
Ⅴ.免除科目
■ 権利関係 [14問] ■
・民法から10問
・借地借家法から2問
・区分所有法から1問
・不動産登記法から1問
(注)上記は例年の出題問題数
■ 法令上の制限 [8問] ■
・都市計画法から2問
・建築基準法から2問
・その他の分野から4問
(注)上記は例年の出題問題数
■ 税・その他 [3問] ■
・税法から2問
・地価公示法・不動産鑑定評価基準から1問
(注)上記は例年の出題問題数
■ 宅建業法 [20問] ■
・宅建業法から20問
(注)上記は例年の出題問題数
■ 免除科目 [5問] ■
・住宅金融支援機構から1問
・景品表示法から1問
・土地・建物から2問
・統計から1問
(注)上記は例年の出題問題数
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、受験者数が大幅に減少しました。しかし、翌年の令和3年度には再び増加に転じ、その後も受験者数は増加傾向にあります。
実際、平成26年度の受験者数は192,029人でしたが、令和6年度には241,436人となり、10年間で約5万人増加しています。令和5年度の233,276人と比較しても、令和6年度は8,160人増加しました。
では、なぜこれほど多くの人が宅建試験を受験するのでしょうか?
宅建士は、不動産取引に必要な専門知識を身に付けられるだけでなく、資格取得を通じて、民法、契約、都市計画、建築、税金など、「不動産」にとどまらない幅広い知識を体系的に学べる資格でもあります。また、宅建試験の受験者は不動産業界だけに限られません。令和5年度の統計を見ると、不動産業からの受験者が最も多い一方で、建設業、金融業、その他の業種、学生など、さまざまな分野から受験しています。
つまり、宅建は「不動産会社で働くためだけの資格」ではなく、仕事や暮らしの中で関わることの多い「土地・建物・契約・お金・法律」を学ぶ資格としても、多くの人に注目されていると考えられます。
さらに、宅建業者の事務所では、一定数の専任の宅地建物取引士を置くことが義務付けられているため、不動産業界では資格そのものが実務上の重要な意味を持ちます。
「資格を取ること」だけを目標にするのではなく、宅建の学習を通じて、仕事にも日常生活にも役立つ知識を身に付ける。それが、宅建を学ぶ大きなメリットの一つではないでしょうか。
一方、上のグラフ「受験者数および合格者数の推移」に注目すると、興味深いことが分かります。受験者数は長期的に増加傾向にある一方で、合格者数は毎年大きく変動しているわけではありません。つまり、「受験者が増えたから、その分だけ合格者も増える」という単純な試験ではないのです。
宅建試験では、毎年の試験問題の難易度や受験者全体の得点状況などを踏まえて合格基準点が設定されます。そのため、受験者数が大きく増えた年であっても、単純に合格者数が比例して増えるわけではありません。
ここから見えてくるのは、宅建試験では「何人受験したか」だけではなく、「受験者全体の中で、どの位置にいるか」が重要だということです。
だからこそ、宅建の学習では「過去問を何問解いたか」だけで満足するのではなく、模試や過去問の結果から自分の弱点を把握し、合格するためにあと何点必要なのか、そしてその点数をどの分野で積み上げるのかを考えることが大切になります。
宅建試験は、ただ勉強時間を増やせばよい試験ではありません。
自分の現在地を知り、合格までの距離を把握して、学習方法を修正していくこと。
それが、合格を目指すうえで非常に重要なポイントなのです。
受験者数と合格者数には一定の関係が見られる一方、合格点は毎年同じではありません。
上のグラフ「合格点および合格率の推移」を見ると、合格点は31点(平成27年度)から38点(令和2年度10月試験)まで、大きく変動していることが分かります。
つまり、「去年は**点で合格したから、今年も**取れば大丈夫」とは言えないのが宅建試験です。
試験問題の難易度や受験者全体の得点状況などによって、その年度の合格基準点は変わります。そのため、過去の合格点だけを見て学習の目標点を決めるのではなく、どのような問題が出題されても安定して得点できる力を身に付けることが重要です。
例えば、過去の合格点が35点だったからといって、35点を取ることだけを目標にしてしまうと、試験当日に少し難易度が上がった場合や、苦手分野の問題が多く出題された場合に対応できない可能性があります。
だからこそ、宅建の学習では「合格点を取る」だけではなく、合格点を上回るための余裕をどのようにつくるかを考えることが大切です。
「今、何点取れているか」だけではなく、
「なぜその問題を間違えたのか」
「 あと何点伸ばせるのか」
「そのために、どの分野を優先して学習するのか」
ここまで分析して初めて、自分に合った合格への学習戦略が見えてきます。
宅建試験では、毎年変わる合格点を予想することよりも、合格点が変わっても合格できる実力を身に付けることが重要なのです。